Walk to the Water

限定的な洋楽オタクの徒然

ピンチョの丘の愚者

我ながらこれまでにない詩的なタイトルではなかろうか。だが内容は私的な思い出話である。

つまらない駄洒落はここまでにしておいて、本題に移りましょう。

 

2016年、私は母と一緒にイタリアへ観光に行った。もう4年も前になる。その途中でローマに行った時の事だ。ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂の荘厳さに息を飲んだり、石窯で焼くピッツァに舌鼓を打ったりした。

自由散策時間になると、私達2人はポポロ広場とその上にあるピンチョの丘を見に行った。丘の上からの眺めは素晴らしいもので、私は何よりも古い街並みの美しさに見惚れた。ポポロ広場から延びる道路が高く昇った太陽に照らされて眩しかった。

すると、後ろの方から音楽が聞こえてきた。ストリートミュージシャンが弾き語りをしていたのだ。楽器はエレキギターで、側にはもちろんアンプもあった(電源はどこから引いていたのだろうか…)。その男性はちょっと気怠げなメロディを奏でながら、これまたちょっと気怠げな歌を歌っていた。私は「こんな午後には丁度いいな」と思いながら街の風景を眺めていた。

これは後で分かった事だが、この時聞いた曲はビートルズ “Girl” だった。以来、私はこの “Girl” を聴く度に午後の丘で弾き語るストリートミュージシャンの姿を思い浮かべるのだ

 

これはイタリア旅行で強く記憶に残っている思い出です。

ビートルズで丘と言えば “The Fool on the Hill” 。私にはあの光景がまるで「丘の上の愚者」のように思えた。この曲中に登場する男(ガリレオ・ガリレイとされる)は、周りから馬鹿だと笑われながらも丘の上から日が沈むのを眺めていた。ピンチョの丘のストリートミュージシャンも誰が耳を傾けるようと気にする様子もなく、ただ歌っていた。しかし、どちらも決してボーっとしていたのではなく、自分の世界に入り浸っていたのだろうと私は考えている。何はともあれ、私はこの2人の姿を重ね合わせずにはいられませんでした。

イタリアは食べ物も美味しいし、風景も綺麗で最高です。是非一度行ってみてください〜